[09-02][BDG][日小说][三浦真奈美]女王陛下の薔薇1-2
[size=12px][img]http://photo2.hexun.com/p/2006/0831/41780/b_9A7860DCC7805695.jpg[/img]screen.width*0.7) {this.resized=true; this.width=screen.width*0.7; this.alt='Click here to open new window\nCTRL+Mouse wheel to zoom in/out';}">[/size][size=12px][size=12px][img]http://photo2.hexun.com/p/2006/0831/41780/b_B426F9794D5FF54F.jpg[/img]screen.width*0.7) {this.resized=true; this.width=screen.width*0.7; this.alt='Click here to open new window\nCTRL+Mouse wheel to zoom in/out';}">[/size][/size]
[size=12px][size=12px][size=12px]大英帝国を思わせるブレニム帝国。そして大英帝国領インドを思わせるパガン。
東インド会社を思わせるサウスダウン社、そして、エリザベス一世を思わせる
うら若き女王陛下セシリア。植民地との相克を抱えながら、優雅に世界一の
強国を謳歌していた16世紀ごろのあの国を、ずばりモチーフにしているように
感じられる作品だ。しかし、物語の背景はそう言いきれるほど単純ではない。
たとえば、「西ホルトジョイの巨人」とあだ名され、植民地や広大な世界の
生の情報流通を握るしたたかなエイダン・グレイと、早くに彼を認め、互いに
利用しながら、熾烈な駆け引きを繰り広げるセシリアの関係は、16世紀における
カスティリャ王国のイザベラ女王とマゼランの関係にだぶらないことはない。
同時に、女性の参政権運動が始まり、徐々に世論の枠組みが「貴族の世論」では
おさまらなくなり、「市民の世論」というものを無視できなくなり、マスコミの
力によって国や時代を左右されるようになるあたりは、19世紀末の趣きさえある。
そうしたブレニム帝国にあって、セシリアがこの物語の中で与えられている役割は、
丁度そのころ在位していたヴィクトリア女王が果たした位置づけを彷彿とさせる。
あえていうなら、19世紀末に辣腕を振るうエリザベス一世、とでもいうところか。
そんな物語世界の中で、社会的にも家族の中でもちっぽけで非力な存在として
登場するのが、「サウスダウン社理事の令嬢」エスティ・B・シルバーである。
彼女はその時代のお嬢さんとしてのイメージから一歩もはみださず、はみだす
ことさえ考えられずにいる、凡庸な人にすぎなかった。多少際立った点といえば、
女学校の寄宿舎で親友となった女性が、今や女王陛下として立ったことぐらいだ。
しかし、女王にそうしばしば会えるわけもなく、それさえも娘として出過ぎだと
考える父によって、サウスダウン社で有望視される男のもとに嫁ぐために、遙か
遠いパガンへと旅立つことになる。その船でエイダン・グレイと出会ったことが、
彼女の一つ目の転機となる。そして、夫となるべき婚約者シン・シェルバーンの
不実と怯懦が彼女に二つ目の転機をもたらす。そしてパガン藩王の一人娘にして
「彼女の夫が次代の藩王」となる女性ブランカとの友情が三つ目の転機となる。
さまざまな事情を経て、ただの「令嬢」から「自立した一人の女性」へと歩み
出していくエスティの行く手は厳しく険しい。誰もが女性が働くということを、
逼迫した暮らしの象徴と考えて卑しんだ時代風潮の中で、婚約者に捨てられ、
両親に縁を切られ、本国では同じ人間として扱われることのないブランカには
彼女の希望する教育を受けさせことさえままならない。しかし、エスティは
しなやかに柔らかに一つ一つを乗り越えていく。決して困難を望むわけでも、
重い責務を望んでいるわけでも、大きな名誉を欲してもいない。無欲である。
それなのにエスティはパガン問題をめぐって、帝国を揺るがすような存在へと
成長していく。そんなエスティを心の支えとする女王セシリアの孤独と矜持が
たまらなく痛ましい。殺すか殺されるかの近親との死線を生き抜いて、帝国初の
女王として即位した彼女は、エスティにさえ話せない多くの秘密を隠し持つ。
女王の秘密のいくらかを共有するエイダン・グレイもまた、その底知れない
経歴や生き方の中に、決してエスティには知られたくないことがたくさんある。
この二人は、互いが違う形であれ、エスティを希有でかけがえのない女性として
愛していることを察している。それでありながら、誰にも彼女をやりたくない、
私一人のエスティであってほしい、という独占欲をに秘めている。なにより、
エスティに知られたくない秘密については同士めいた連帯感さえ抱えている。
この一筋縄ではいかない帝国きっての切れ者二人を振り回すエスティの魅力はと
いえば、その控えめなひたむきさだ。女王陛下の学友にして親友であることを
振りかざさす、おのれの醜聞を堪え忍んででも女王を護ろうとする誠実さは、
女王の心を何より慰める。また、人間を腐るほど見てきたエイダン・グレイに
とっても、泥の中に落としても汚れないだろう、真っ直ぐな清々しさを見せる
エスティは驚嘆に値する。妬みや嫉み、汚い感情をたくさん見て、傷つき痛みを
おぼえてきた人ほど、エスティに心安らぎ、心惹かれずにはおれないのだろう。
そして、この作品を読む読者もきっと、エスティほど強くもまっすぐでもない
自分に心痛むだろう。エスティの生き方についていけないと思うかもしれない。
でも、エスティのように潔くあれたら、彼女のような人を支えられたら、愛せたら
と思うだけで、たぶんいいのだ。そう思える自分は、まだ捨てたものじゃない。
女王セシリアやエイダン・グレイが、エスティを思っては胸をきしませるようにね。
[b][size=2]女王陛下の薔薇 01卷夢見る蕾たち[/size][/b][/size]
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[size=12px]女王陛下の薔薇 第2巻 「秘めたる花園」[/size]
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